第11回 「朗読の日」 を終えて (長野淳子)
毎年6月に開催される東京での朗読会が、お陰様で先頃無事終わりました。
これは、NPO日本朗読文化協会が主催する 「朗読の日」 という公演で、
毎年全国から会員が集い、作品の発表を通して、朗読の楽しさを皆様にお伝えするもので、
まさしく年に1度の 「朗読の祭典」 です。
11回目を迎えた今年は、会場の銀座 博品館劇場に、6月15日、16日の2日間、
4つのステージに延べ120人の会員が登場し、延べ1200人のお客様がお越し下さいました。
今年も、スタンダードの古典に始まり、名作から現代作品、そして詩の朗読、
更に、協会で人気の加賀美幸子先生の講座の受講生による 「平家物語」 や
朗読をテーマにした人気漫画 「花もて語れ」 からの作品など、バラエティーに富んだ内容でした。
私はこの 「朗読の日」 の公演には、第2回から参加し、
これまでは、向田邦子さんの作品を多く朗読してきましたが、
通算8回目の参加となる今回は 「震災関連」 の作品を読むことになりました。
悠崎 仁 作 「震災~おとうさんの家、ぼくの家~」
この作品は、新聞に掲載された福島での出来事をもとに書かれたもので、
震災で犠牲になった 「犬の親子」 の会話を通して、震災への思いを語るものです。
演出の先生からの依頼で、初めてこの作品を読んだ時、どうしても涙を堪えることが出来ず、
「すみません。これは私には読めません」 と、一旦は辞退した作品でした。
それでなくても、年々涙腺が弱くなっているのに、そのうえ 「震災関連」 の作品です。
被災地の人間として、どうしても胸がいっぱいになってしまうのです。
でも読み手が泣いてはダメなのです。
そこからは、涙との戦いでした。
泣きそうになる自分の気持ちを、セーブする戦いでした。
そして迎えた本番。
いつになく緊張しましたが、何とか最後まで泣かずに読むことが出来ました。
読み終えた後、お客様から 「あの作品は本になっているのですか?」 とお問合せ頂きました。
残念ながら、本にはなっていないのですが、聴いて頂いた方の心に
少しでもこの作品が残ったことを、嬉しく思いました。
Bステージの 「3行ラブレター」 も、Dステージの 「司会」 も
お陰様で、すべてどうにか無事に務めることができました。
全ステージが終わった時、演出の先生に言われた
「泣かずに読めたね!良かったよ!!」 という言葉に、胸をなで下ろしました。
この達成感があるから、また来年もこのステージに立ちたいと思うのです。
仙台からわざわざ見に来て下さった方々に、そして応援して下さった皆様に
この場を借りて、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
この 「朗読の日」 の公演は、プログラムの作成から、チケットの販売・管理、
当日の会場運営など、ほとんどすべてを会員が分担して作り上げていく朗読会です。
またNPO日本朗読文化協会には、朗読が好きな方ならどなたでも参加できますので、
興味のある方、ぜひご入会下さい!! 一緒に朗読を愉しみましょう!!