朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H29年3月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
3月は、以下の4作品を朗読しました。
① 川端 誠 作 「風来坊」
② 河北新報社 編集 「ありがとうの詩」
③ 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」
④ 向田 邦子 作 「眠る盃」 より 「味醂干し」
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① 川端 誠 作 「風来坊」 (朗読:田中 憲子さん)
「木彫りの風来坊」 とよばれるお坊さん。
お経を読んでいるのを聞いたことがありませんが、木彫りの腕は天下一品。
今まで、窮地を何度もこの腕で切り抜けてきたのですから。さて、こたびは――。
すみきった秋空の下、ひとはだ脱いだら、あとはのんびり旅の空。
いつものように 「おれは天下の風来坊」 と決めぜりふ。
荒削りなお坊さんの人情深いところ、正義感が強くて一本気なところ、とても魅力的な作品です。
内容はもちろんのこと、川端 誠さんの絵もとてもステキなので、
今回は、絵本を皆さんに見て頂きながら、田中さんが朗読する形をとりました。
田中さんの名調子を聴きながら、絵を見ることで、より楽しんで頂けたようです。
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② 河北新報社 編集 「ありがとうの詩」 (朗読:村山 和子さん)
東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県には、震災の直後から、日本だけではなく
世界中から多くの支援物資や義援金、そして励ましのメッセージが寄せられました。
こうしたたくさんの支援に感謝の気持ちを伝えようと、河北新報社が 「ありがとうの詩(うた)」 を出版しました。
460作品もの応募の中から選ばれた、50作品がおさめられています。
作品の選考にあたった、詩人の和合亮一さんは、
「詩に描かれているものは、私たちがこの震災で体験した、言いあらわせない喪失感を物語ろうとしているものが多かった。
そこに本当の切なさや優しさが見えた。時に涙して、時に深くうなずきながら読み続けた」
というメッセージを寄せています。
今回は、ベテランの村山さんが、
●被災地の支援に向かう作業員の人たちへのお礼の気持ちを綴った 「ありがとがす」
●被災した故郷への思いを綴った 「ふるさと閖上」
●大津波で逝ってしまったお姉さんと姪御さんへの思いを綴った 「はっちゃん」
以上3編を、味わい深く朗読してくれました。
参加者の中には、涙をぬぐっている方もいらっしゃいました。
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③ 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「大岡裁き」 (朗読:八幡 靖子さん)
遠い昔の思い出や、幼い頃に聞いたお伽噺、切ない恋の記憶......。
夢のかけらのような32篇の小さな物語を、ファンタジックなイラストで彩った本。
ミステリーの書き手としても注目される著者の、詩人、童話作家としての素顔の垣間見える作品集です。
名奉行 大岡越前守のもとに、難題が持ち込まれた。
赤子をめぐって、二人の女が、どちらも自分の子だと言い張って譲らない。
両方から腕を引かれた赤子が大声で泣き出したとき、一方の女が手を離してしまった。
それを見た越前守は、手を離した方がまことの親だと裁きを下した。
さて、その後・・・・・。
今回は 「大岡裁き」 のスピンオフのような作品を、八幡さんが朗読しました。
「聞いていて、映像が浮かんだ」 という感想を頂きました。
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④ 向田 邦子 作 「眠る盃」 より 「味醂干し」 (朗読:長野 淳子)
食いしん坊で有名だった向田邦子さん。
それが高じて、「ままや」 という小料理屋まで開店し、料理の本まで出しています。
向田さんが好んだお料理は、決して手の込んだものではなく、平々凡々としたものばかり。
それが、向田さんの手で味付けされると、なんとも美味しげで、懐かしいものになります。
今回は、向田さんの味の原点を感じられるエッセイから、「味醂干し」 を、お届けしました。
向田さんのお気に入りの 「味醂干し」 は、塩釜の魚屋さんの物だった とありますが、
なんというお店かは、今となってはわかりません。
また、うまいもののチラシを入れていた 「う」 の引き出しには、仙台の 「長茄子漬け」 も、あったそうです。
読み終わった後、お客様から
「私の家は、イワシではなく、サンマの味醂干しでした」
「向田さんの作品には、懐かしい思い出がたくさん出てきていいですね」
「味醂干しが、無性に食べたくなりました」
という感想を頂きました。
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◆三浦由子さんの感想
田中さんは、様々な声音で迫力の読みでした。
この文章をこう読むとは、さすが...!と感心しながら絵本のページをめくっていました。
村山さんは、情緒ゆたかでとても素敵な読みでした。
しっかりお顔を上げて語っていて、心からの「ありがとう」が伝わりました。
八幡さんは、動作がついた部分、とっても良かったです。
主人公の気持ちもよく伝わり、最後の終わり方もたっぷりしていて、参考になりました。
長野先生の向田邦子さんのエッセイは、さすがです。
杜の音の皆さん、しきりにうなづいたり、思わず声を出したり、先生に心を開いて、
実に楽しそうに聴いていらっしゃいましたね。こんなふれあいは、とてもいいですね。
毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、
「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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