朗読ボランティア 「杜の音」 通信 (H28年 9月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
9月は、以下の5作品を朗読しました。
① 岩國 哲人 作 「おばあさんのしんぶん」
② 沢村 貞子 作 「私の浅草」 より 「紅い鼻緒」
③ 川端 康成 作 「掌の小説」 より 「雨傘」
④ 向田 邦子 作 「無名仮名人名簿」 より 「メロン」
⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」
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① 岩國 哲人 作 「おばあさんのしんぶん」 (朗読:渡部 敦子さん)
新聞少年のてっちゃんに新聞を読ませてくれていた老夫婦。
その、おばあさんが亡くなり、てっちゃんがはじめて知った事実は・・・。
「新聞配達に関するエッセーコンテスト」に寄せられた岩國哲人さんの最優秀作品から生まれたこの絵本。
政治家となった岩國さんの実話をもとにしたお話です。
てつおにとって、子どもにとって、新聞を配達するという仕事、そして新聞を読むということ、
まわりに助けられてきたということ、それらがどれだけ人生の糧となってきたか。
絵本を読むだけで、その感謝の気持ちが心から伝わってきます。
時代や環境が変わっても、このエピソードはきっと子どもたちの心のどこかに響いてくれることでしょう。
作品の内容はもちろんのこと、松本 春野さんの文と絵がとてもステキなので、
今回は、大きな絵本を皆さんに見て頂きながら、渡部さんが朗読する形をとりました。
耳で聞くだけでなく、目で見ることで、より楽しんで頂けたようです。
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② 沢村 貞子 作 「私の浅草」 より 「紅い鼻緒」 (朗読:蓬田 則子さん)
この作品は、浅草の生まれ育った著者が、東京下町の人々の人情あふれる暮らしぶりと、子供たちの生活、
四季折々の町の表情、そして亡き父母、兄弟の思い出を、細やかな筆で綴ったエッセイ集です。
今回は、想われ人に 「紅い鼻緒」 の日和を盗まれた主人公(15歳)が、
初めて貰った恋文にオロオロする様子を、蓬田さんが何とも初々しく朗読してくれました。
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③ 川端 康成 作 「掌の小説」 より 「雨傘」 (朗読:宮崎 幾野)
川端康成が、20代の頃から40年余りにわたって書き続けてきた、掌編小説を収録した作品集。
「雨傘」 で繋がった少年少女の、短い間の特別な間柄が美しく描かれた作品。
ふとしたやりとりににじむ、相手への繊細な感情の描写を、宮崎さんが見事に表現してくれました。
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④ 向田 邦子 作 「無名仮名人名簿」 より 「メロン」 (朗読:長野 淳子)
一度でいい、一人で一個、いや半分のメロンを食べてみたいと思っていた・・・・
「メロン」は、高い値段を気にしながら、六分の一ほどを、劣等感と虚栄心と闘いながら食べるところに、
この果物の本当の味があるらしい。
正月の京都に遊んだ時、つい浮かれて初売りの八百屋で高級メロンを買い、
ホテルで喜び勇んで同行の人達に振る舞ったところ、見事に外れだったというお話など、
「メロン」 にちなんだエッセイ。
読み終わった後、お客様から
「私も同じような経験をしたことがあります」
「向田さんの作品は、いつ聞いても何度聞いてもいいですね」
という感想を頂きました。
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⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」 (朗読:全員で)
「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えてしまうこと その一つ一つが 本当は奇跡」 という内容で、
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。
「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて、
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって下さいました。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、
「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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