朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H29年11月号)

  
長野淳子 [posted:2017.11.25]

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
11月は、12月に開催の朗読会に先駆けて、以下の4作品を朗読しました。


① グリム童話 「つぐみのひげの王様」
② 大橋 鎭子 :作 「すてきなあなたに」 より
③ 東海林 さだお :作 「アイウエオの陰謀」 より 「人体の言い分」
④ 矢野 竜広 :作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」


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① グリム童話 「つぐみのひげの王様」   (朗読:武田博子さん)


つぐみの髭の王様①.jpg つぐみ②.jpg


昔、ある王様に娘が一人ありました。
このお姫様は大変な美人でしたけれども、ひどく気位が高くうぬぼれ屋で、誰が結婚を申し込んでも次から次へとはねつけて、
ある国の王子の顎が少しとがっているのを見て 「つぐみのひげの王さま」 とあだ名をつけて笑う始末。


つぐみ③.jpg つぐみ④.jpg


そんなお姫さまの無礼な態度に怒った王さまは 「今から最初に城にやってきた男にお前を嫁にやる」 と宣言。
そこへちょうど通りかかった乞食と結婚させて、城から追い払ってしまいます。
あわれなお姫さまの運命は・・・・・


つぐみ 武田さん①.JPG 武田さん②.jpg


今回は武田さんが、お姫様と王様の様子を、とても楽しそうに表現してくれました。
杜の音の皆さんは 「まるで劇を観ているようだった」 と仰って下さいました。


★武田さんの感想

「楽しかった!」 の一言につきます。
わたくしにとっては久々の杜の音への訪問でした。
杜の音の皆様が 「うん、うん」 とニコニコしながら耳を傾けてくださったので、
演じている私もついつい嬉しくなり、いつの間にか良い意味での 「脱力」 をしながらの語りとなりました。
もちろん、新鮮味を持って緊張することは大切なことですが、
あまり気張らない 「脱力」 も自分には必要なのではないかと、語り終えてから発見しました。
また杜の音の皆様のところへ訪問させていただきたいと思います。ありがとうございました。


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② 大橋 鎭子 :作 「すてきなあなたに」 より  (朗読:小笠原 清子さん)


大橋鎭子さんは、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者として長年活躍された方で、
NHK の連続テレビ小説 「とと姉ちゃん」 でもおなじみになりました。


大橋鎭子さん.jpeg 暮らしの手帳.jpeg


大橋さんのエッセイに出会ったのは、今から30年近く前、
当時、初めて担当したラジオ番組の生放送で、オープニングの1分間のフリートークを考える時に、
季節の話題や日常の出来事への目のむけ方などを、この 「すてきなあなたに」 から、たくさん学ばせて頂きました。


大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが大好きで、これまで朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。
現在も、毎週水曜日にラジオ3で放送している私の番組でも、大橋さんの 「すてきなあなたに」 を朗読しています。
(http://www.stage-up.info/contents/post.html)


すてきなあなたに2.jpeg


今回は、

★日常の中での思いがけない出来事を綴った 「交差点の笑顔」
★小さい時にきいた祖母の話を思い出す 「ちっちゃな鬼」 の2作品を、

小笠原さんが大橋鎭子さんの優しい目線で、語ってくれました。
杜の音の皆さんも、うなずきながら聞き入って下さいました。


DSC_1865.JPG 小笠原さん②.jpg


★小笠原さんの感想

私が以前ギャラリー杜の音にボランティアに伺ったのは、夏の7月のことでした。
今回は秋も深まり、季節は立冬を迎えていました。
四季折々の鮮やかな色彩のなかに、穏やかな時の流れを感じることのできる〈ギャラリー杜の音〉
杜の音の皆さまは、私たちの朗読をいつも心待ちにしていてくださり、
今回もまた 「楽しみにしてたよ」 とお言葉をかけていただき、嬉しくなりました。

今回朗読した大橋鎮子さんのエッセイ 「すてきなあなたに」 は、長野先生がずっと大切になさっている作品集で、
杜の音の皆さんに朗読するのは初めてでしたので、少々緊張しましたが......
会場のみなさんは、にこやかなお顔でおききくださいました。
私たちがこちらへ伺うことで、杜の音の四季のように穏やかで、なにか懐かしい温かさを感じていただければ幸いです。

帰りに、すこし冷たい冬の風にあたりながら、ふと館内の窓に目をやると
先ほどまで、朗読をお聞き下さった方々が食事の時間で、皆さんお集まりのようでした。
私たちにお気づきになり、こちらへ向けて笑顔で手を振って下さいました。
私たちもそれにこたえるように、大きく手を振りました。
まるで、仲良しのお友達と 「またね」 の手を振り合うように......
まるで、自分のおじいちゃんおばあちゃんに 「またね」 の手を振るように、
まるで、父や母に手を振るように、私たちも優しい気持ちをいっぱいいただきながらご挨拶しました。

これからも 「チーム杜の音」 頑張ります。
また笑顔でお会いできることを楽しみにしています。


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③ 東海林 さだお :作 「アイウエオの陰謀」 より 「人体の言い分」   (朗読:チーム人体)


アイウエオの陰謀.jpeg


「心臓」 「胃」 「肺」 「眉」 「歯」といった人体の臓器が、それぞれに抱えている問題や、思いを発表するというショートショート。


DSC_1866.JPG


今回は 「チーム人体」 の5人が、それぞれの持ち味を存分に発揮して読んでくれました。
杜の音の皆さんも、声をあげて笑って下さいました。


岡部さん.jpg 蓬田さん.jpg 三浦さん.jpg 村山さん.jpg 宮崎さん.jpg


★「心臓」 岡部さんの感想
喉の調子が今一だったため、初めは声が後ろ迄届いているか心配でした。
でも、前例だけでなく、1番後ろの席の方々も、うなずいたりお隣同士で顔を見合せて笑ったりして下さったので、
読み進めて行くうちに私自身が元気になっていきました。
貴重な時間をありがとうございました。


★「胃」 蓬田さんの感想
お客様の反応が直に伝わってくるのが感じられました。
お客様と話をしているかのようで、読んでいて楽しかったです。
また、思いもかけないところで笑っていただけたりして、新しい発見がありました。


★「肺」 三浦さんの感想
今回の朗読は、来る朗読会のお客様の反応を事前に知ることになり、大変勉強になりました。
杜の音の皆さん、表情豊かに反応いただき、前に並んで見ているこちら側もとても楽しくなりました。
ただ、私の読む 「肺」 は、他の臓器さんのようには、声を出して笑えるものではなかったこともあり、
あまり伝わらなかったように思いました...。
以前、講座の中で長野先生が「肺」を読まれたのを聴いたことがありますが、その時、先生は「肺」の心情になりきっていて、
聴いている私たちは、素晴らしく面白いと感じたのでした。
先生と同じようにはとても読めませんが、聴いている方が作品を理解しやすいように、
これから少しだけ作品に手を入れていこう、出来るだけの努力はしようと思いました。


★「眉」 村山さんの感想
杜の音には、今まで何回か参加させていただきましたが一番リラックスしてできたように感じています。
ご高齢の方達の笑い声が凄く嬉しかったです。笑顔って本当にいいですね。本番も肩の力を抜いて臨めそうです。


★「歯」 宮崎さんの感想
杜の音で聞いてくださる方々からは、いつも暖かい気持ちを感じておりますが、
この日は作品の題材のせいか、いつもにも増して笑い声あり、独り言あり、お隣同士でのうなずきあいあり...。
お客様席と一緒になって朗読作品を作っているような楽しさを感じ、またとても勉強になりました。ありがとうございました。


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⑤ 矢野 竜広 作 「そこに日常があった。」 より 「当たり前のこと」 (朗読:全員で)


「太陽がのぼること」 で始まるこの詩は、
「当たり前に思えてしまうこと その一つ一つが 本当は奇跡」 という内容で、
ステージ・アップの朗読会でいつも最後に、参加者全員で読んでいる詩です。


そこに日常があった。.jpg


「杜の音」 でも、いつも結びに全員で、音楽にのせて読みます。
「この詩のコピーを部屋の壁に貼っています」 という方もいて
「毎回この詩を朗読するのが楽しみです」 とおっしゃって下さいました。


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★見学した奥村さんの感想

杜の音ギャラリーの利用者さんと一緒に聞かせていただきました。
「グリム童話」 は、それぞれの場面の背景・景色が白い壁に映し出されているような物語に引き込まれていく感覚が新鮮で感激でした。
「すてきなあなたへ」 では、エッセイの横断歩道でのシーンがふわっと浮かびキモチがやわらかくなりました。
圧巻は 「人体の言い訳」 で、学にも通じるコミカルなストーリーを絶妙な配役とその個性を見事に表現した5人の繋ぎは、
利用者さんと同じく笑いとウンウンと納得の連続でまだまだ続きを見たい!としばらく興奮がさめやらない程楽しい朗読でした。
朗読の持つ魅力とパワーを思い知ったあっと言う間の1時間でした。ありがとうございました。


DSC_1875.JPG


毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


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