朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H29年4月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
4月は、以下の4作品を朗読しました。
① 大橋 鎭子 作 「すてきなあなたに」 より 「花ことば」
② 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「絵姿女房その後」
③ 原田 宗典 作 「人の短編集」 より 「レフェリーの勝利」
④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「身体髪膚」
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① 大橋 鎭子 作 「すてきなあなたに」 より 「花ことば」 (朗読:長野 淳子)
大橋鎭子さんは、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者として長年活躍された方で、
昨年のNHK の連続テレビ小説 「とと姉ちゃん」 でもおなじみになりました。
私が大橋さんのエッセイに出会ったのは、今から30年近く前、
当時、初めて担当したラジオ番組の生放送で、オープニングの1分間のフリートークを考える時に、
季節の話題や日常の出来事への目のむけ方などを、この 「すてきなあなたに」 から、たくさん学ばせて頂きました。
大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが、私は大好きでこれまで、朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。
現在も、毎週水曜日にラジオ3で放送している私の番組でも、大橋さんの 「すてきなあなたに」 を朗読しています。
(http://www.stage-up.info/contents/post.html)
今回は、桜の季節になると、必ず紹介するエッセイ 「花ことば」 を朗読しました。
桜の花が咲きそうな気配をいう 「花もよい」
咲き乱れる桜の花の白さのために、夜でもあたりが明るく見えることをいう 「花あかり」
桜が咲くころに突然にくる寒さをいった 「花冷え」
満開の桜を、遠見のかすみに見立てた 「花がすみ」
川面に散った桜の花びらが、連なって流れていくのを 「花いかだ」
花を散らせる強い風も 「花あらし」 といえば許せる気がします。
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② 光原 百合 作 「星月夜の夢がたり」 より 「絵姿女房その後」 (朗読:堀 多佳子さん)
女房の 「絵姿」 を眺めては、仕事に精を出していた男。
ところが、その絵が風にさらわれて、お城のお殿様の目にとまった。
その美しさに感じ入った殿様は、家来に命じて女房を連れ去ってしまった。
どうしても女房に会いたい男は、栗売りになってお城へ。
殿様は、自分と男の着物を取り換えて、栗売りになってお城の周りを歩き回った。
ところが、殿様がお城に戻ろうとすると、門番が怪しんでどうしても中に入れてくれない。
こうして、殿様に代わって男と女房がお城に住むようになった。
さて、その後・・・・・
「栗売り」 から 「しじみ売り」 そして 「金魚売」 から 「さお竹売り」 へ
更に 「豆腐屋」 だの 「旅芸人」 だの 「いかけ屋」 だのと、次々に交替して、
しまいには 「人形細工」 の夫婦がやってきて・・・・
江戸っ子の活きのいい 「べらんめい口調」 と 、おっとりした 「殿様口調」 を、
セリフに定評のある堀さんが、楽しく聞かせてくれました。
お客様たちからも、笑い声が出ていました。
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③ 原田 宗典 作 「人の短編集」 より 「レフェリーの勝利」 (朗読:宮崎 幾野さん)
21人の 「彼」 と 「職業」 が登場する短篇集。
主人公は全て 「彼」 であり、それぞれの 「職業」 にまつわる視点から物語が紡がれています。
職業は、電気工事、写真家、郵便配達、書店員、調香師、骨董屋、レンタカー営業所、獣医、コピー機メンテナンス、編集者、営業マン、
ベルボーイ、劇場管理、不動産、カーディーラー、デパート屋上遊戯管理、経理課、タクシードライバー、スタンドボーイ、レフェリー。
内容は、過去を振り返るノスタルジーや、哲学的な生き様、オカルト、ハードボイルド、サスペンス...などなど。
人生の中で起こるささいな、あるいは特別な 「出来事」 が、さまざまなテイストで描かれています。
今回は、公務員として地味な毎日を送っていた 「彼」 が、ある日唐突にボクシングに目覚め、
「レフェリー」 としてデビューするまでを描いた 「レフェリーの勝利」 を
スポーツが大好きという宮崎さんが、読んでくれました。
★宮崎さんの感想
私がこの作品を選んだ理由は、私自身スポーツをしていて感じる高揚感、充実感、楽しさ、やる気のようなものに共感したからです。
聞いて下さる方にも元気を届けられたらと思いながら読みました。
皆さんそれぞれに、真剣な眼差しで聞いて下さいました。
もっと練習を積んで、よりよい朗読をお届けしなければいけないと気持ちを新たにしました。ありがとうございました。
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④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「身体髪膚」 (朗読:長野 淳子)
「身体髪膚 之ヲ父母ニ受ク 敢テ毀傷セザルハ 孝ノ始メナリ」
これは、
「私たちの体は、髪の毛から皮膚に至るまで、すべてが父母から貰ったものである。
自分の身体を大事にすることが、親孝行の第一歩である」
という意味で、体に残る小さな傷を通しての、向田さんの家族への思いが温かい眼差しで描かれた作品です。
読み終わった後、1人の女性の方が 「小さい頃の家族のことを思い出しちゃった」 といって、涙ぐんでいたのが印象的でした。
体に残る 「小さな傷痕」 は、当時のことを思い出す 「スイッチ」 のような気がします。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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