朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H29年6月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
6月は、以下の4作品を朗読しました。
① きむら ゆういち 作 「あらしのよるに」
② 武田 英子 作 「八方にらみねこ」
③ 幸田 文 作 「台所のおと」 より 「濃紺」
④ 向田 邦子 作 「無名仮名人名簿」 より 「女子運動用黒布襞入裁着袴」
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① きむら ゆういち 作 「あらしのよるに」 (朗読:野呂 光江さん)
あらしの夜に、暗がりの小屋の中で出会ったオオカミとヤギ。
真っ暗で何も見えないものだから、オオカミは相手をオオカミだと思い込み、ヤギは相手をヤギだと思い込み、
勘違いしたまま二人の会話は続きます。
普段は食べる側と食べられる側のオオカミとヤギ。
お互いがオオカミとヤギであることが分かってしまうのではないかと、ハラハラドキドキ。
今回は野呂さんが、オオカミの声とヤギの声を上手に使い分けて、楽しく読んでくれました。
杜の音の皆さんからも、笑い声がおきていました。
また会う約束をした二人。この後二人の関係はどうなっていくのでしょう。
野呂さんはこのシリーズを、これからも読んでいく予定です。お楽しみに!!
野呂さんの感想はこちら http://www.stage-up.info/contents/cat9/624.html
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② 武田 英子 作 「八方にらみねこ」 (朗読:田中 憲子さん)
第4回 「絵本にっぽん賞」 受賞の絵本!
蚕を育てる農家に拾われたミケが、お礼にネズミを追い払おうとしますが目力が足りず、
《八方にらみの術》 をさずけてもらうために、山にこもって修行します。
猫が大好きな田中さんが、ミケの声を本当にかわいく演じてくれました。
田中さんの実家でも、昔蚕を飼っていたそうで、当時の様子に杜の音の方達も、懐かしそうに聞き入っていました。
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③ 幸田 文 作 「台所のおと」 より 「濃紺」 (朗読:三浦 由子さん)
孫たちと遊んでいたきよは、仕舞ったままにしていた 濃紺の鼻緒の下駄 を思い出す。
それは 「繁柾」 という木目の細かい高級な下駄であったが、大きなくせのある一品だった。
そしてそれは、彼女がまだ若い娘時分に、下駄屋に勤める青年からもらったものだった...。
くせのある木のいとしさ、くせのある材に多分並ならぬ手間をかけたであろうその人の哀しさ、
そしてまたくせを贈られた自分は、いったいどういう巡りあわせか。
ただ、三者ともに通じるのは、ふしあわせな環境におかれたとき我慢する能力がある、という点だった。
幸田文は1904年生まれ。明治の文豪、幸田露伴(1867-1947)の娘。幼くして母と姉を、のちに二十歳前の弟にも先立たれる。
父・露伴の没後、文筆の道に進み、数々の名作を生み出しました。
★三浦さんの感想
今回の 「濃紺」 には、多少古めかしい言い回しが出てくるのですが、
それも含めて実に美しい日本語で、読んでいてとても気持ちいい作品でした。
長野先生のレッスンでは 「もっと艶っぽく」 とダメ出しされ、
なるほど、このハードルは越えなくてはいけないもの、と思い、大変ありがたかったです。
レッスンに居合わせた田中さんに 「この前と全然違う、よくなった」 と言っていただき、先生のご指導のお陰と嬉しくなりました。
少しずつでも上手になって、杜の音の皆さんにもっともっと喜んでいただけるようになりたいです。
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④ 向田 邦子 作 「無名仮名人名簿」 より 「女子運動用黒布襞入裁着袴」 (朗読:長野 淳子)
「女子運動用黒布襞入裁着袴」
これはいったい何のことでしょう? 答えは 「ブルマー」
旧制女学校へ入り、リーダーを二冊上げたところで 「真珠湾」 になってしまったという向田さん。
「敵性語」 を習うことなど以ての外というので、英語の授業は中止。
習うだけでなく使うことも禁じられ、様々な言葉が生まれました。
向田さんがお元気でいらしたら、89歳になっていらっしゃるはず。
杜の音の皆さんも、向田さんと年齢が近い方もいらして、
「レコード」 を 「音盤」 野球の 「ストライク」 を 「よし」 と言った時代を、それぞれに思い出していらしたようでした。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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