朗読ボランティア 「杜の音通信」 (H30年7月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
7月は、以下の4作品を朗読しました。
① 木村 裕一 :作 「きりのなかで」
② 中村 星湖 :作 「笑う門」
③ 小野 和子 :再和 「語りたいこんな民話」 より 「お茶売り勘兵衛さん」
④ 向田 邦子 :作 「眠る盃」 より 「味醂干し」
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① 木村 裕一 :作 「きりのなかで」 (朗読:野呂 光江さん)
1994年の発売以来、多くの賞を受賞し、舞台化、イタリア語版の発行、ビデオ紙芝居の発売、
さらには小学校4年生の国語の教科書に採用されるなど、多くの反響を呼んでいる 「あらしのよるに」 シリーズの 第4部。
あらしのよるに、お互いが誰かもわからぬまま友だちになったヤギのメイとオオカミのガブ。
きれいな月をみせたいというガブに誘われて、メイはポロポロがおかへと向かいます。
しかしあたりには、霧が立ち込めています。 せっかく、二人で会う日なのに...
その霧の中に、潜む怖いオオカミ。 それは、オオカミの中でも、リーダー格の、 バリーとギロ。
バリーとギロが、メイを狙っている事を知ったガブは、なんとしても、先にメイを見つけなくては・・・と焦ります。
何度も、何度もピンチを乗り越え、2人はお互いに友情を確かめ合います。きりのなかにうかぶ満月を見ながら。
このシリーズを、1作目から続けて朗読している野呂さん。
今回も、「ガブ」 と 「メイ」 と 「バリー」 と 「ギロ」 の声をうまく使い分けて、楽しく読んでくれました。
杜の音の皆さんも、ハラハラ・ドキドキ 手に汗握りながら楽しんで下さったようです。
★野呂さんの感想
今回読ませて頂いたのは、木村裕一・作 『あらしのよるに』 シリーズの4作目 『きりのなかで』
今までは、ほぼ 主人公であるオオカミのガブとヤギのメイ、この2匹で成り立っていたストーリーでしたが、
今回はガブの仲間で、バリーとギロという狂暴なオオカミ2匹が加わり、途中通りすがりにイノシシも登場し、
声の使い分けが、とても忙しくなりました。
事前のレッスンでは、オオカミだけで3匹にもなってしまった登場人物...
ならぬ、登場動物達が、自分でも混乱してしまう場面もあったので、
長野先生と一緒に、それぞれのキャラクターとそれに合う声色を確認しながら、
どうしたら聴いて下さる方々に上手く伝わるかを、シミュレーションしました。
本番では、ホワイトボードに 登場する動物達の名前を書いて説明し、
又、シチュエーションに合わせて時折ジェスチャーを交えて表現しました。
杜の音の皆さんは、話の進み具合に合わせて、ホワイトボードに目を移されたり、
私の方を観て下さったりと、一生懸命に聴いてくださいました。。
お帰りの際に、今日初めて、私達 『チーム杜の音』 の朗読をお聴きになったという方に、お声をかけて頂きました。
「私はいつも一人で居るもので、こういうのがあると有り難いですね、今日は本当に楽しませて頂きました!また来ます。」 と、
満面の笑みで私の手を握りながら...。
朗読をしていると、いろいろと苦労を伴うこともありますが、心から幸せを感じる瞬間とは、この様な時ですね。
この 『あらしのよるに』 シリーズ4作までを読んでみて、皆様からの温かい拍手やお言葉を頂きながら、
回を重ねる毎に、私も読む楽しさがどんどん増してきています。
次回は第5作 『どしゃぶりのひに』 です。
このお話を何回か聴いたことのある方も、まだお聴きになったことが無い方も、
どうぞお楽しみにお越しください。私も、楽しみに伺います!!
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② 中村 星湖 :作 「笑う門」 (朗読:奥村 志都佳さん)
「笑う門(もん)」 は、大正時代の児童雑誌 「赤い鳥」 に掲載された作品です。
学校で先生から 「笑う門(かど)」 の話を教わった梅吉は、
「笑う門(もん)」 を建てれば 「福の神」 がやってくる と思います。
先生の 「門が笑うのではなく、人が笑うのだ」 という言葉に、梅吉は家の前に門を建て、その前で大声で笑います。
梅吉の 「笑う門」 に、両親が教えられたこととは・・・・・
今回は奥村さんが、梅吉の無垢な想いを、さわやかに演じてくれました。
杜の音の皆さんも、温かい眼差しで聞き入ってくれました。
★奥村さんの感想
今回は、大正時代の児童雑誌 「赤い鳥」 から 「笑う門(もん)」 にチャレンジしました。
「笑う門には......」 と言うと 「福が来る」 と声に出してくださるご婦人や、
飲兵衛のお父っさんが息子(梅吉)の純粋で懸命な想いに改心する場面で 「うむっ!」 とうなづいてくださった男性。
「笑う門には福が来る」 の言葉の力に後押しされて、利用者さんと一緒に作品を楽しめた感じがしました。
何はなくても 「笑う門には福が来る」
福は 「 富」 ではなく 「恵」 であり、読み終わった時の利用者さんの優しい笑顔が、
私にとっての福が来たひとときとなりました。ありがとうございました。
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③ 小野 和子 :再和 「語りたいこんな民話」 より 「お茶売り勘兵衛さん」 (朗読:堀 多佳子さん)
みやぎ民話の会叢書第14集 『語りたいこんな民話』
35編の物語はどれも生き生きとしておもしろい作品ばかり。澁谷夏海さんの挿絵がまたすてきです。
著者の小野和子さんは40年以上東北の民話採集をされている方で、
宮城を舞台にした童話 「ゆめのゆめのサーカス」 は、ステージ・アップのレパートリーの一つです。
息子のお産に立ち会った、神様の話を聞いてしまった勘兵衛さんの物語。
今回は堀さんが、臨場感たっぷりに語ってくれました。杜の音の皆さんも、じっくりと聞き入って下さいました。
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④ 向田 邦子 :作 「眠る盃」 より 「味醂干し」 (朗読:長野 淳子)
食いしん坊で有名だった向田邦子さん。
それが高じて、「ままや」 という小料理屋まで開店し、料理の本まで出しています。
向田さんが好んだお料理は、決して手の込んだものではなく、平々凡々としたものばかり。
それが、向田さんの手で味付けされると、なんとも美味しげで、懐かしいものになります。
今回は、向田さんの味の原点を感じられるエッセイから、「味醂干し」 を、お届けしました。
向田さんのお気に入りの 「味醂干し」 は、塩釜の魚屋さんの物だった とありますが、
なんというお店かは、今となってはわかりません。
また、うまいもののチラシを入れていた 「う」 の引き出しには、仙台の 「長茄子漬け」 も、あったそうです。
読み終わった後、お客様から
「私の家は、イワシではなく、サンマの味醂干しでした」
「向田さんの作品には、懐かしい思い出がたくさん出てきていいですね」
「味醂干しが、無性に食べたくなりました」
という感想を頂きました。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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