朗読ボランティア 「杜の音通信」 (令和元年9月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
60回目 を迎えた令和元年9月は、以下の4作品を朗読しました。
① 森下 典子 作 「いとしいたべもの」 より 「茄子の機微」
② 「君へ。つたえたい気持ち三十七話」 より 「モーニングコール」
③ 宇野 千代 作 「不思議な事があるものだ」 より 「待つことの人生」
④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「お八つの時間」
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① 森下 典子 作 「いとしいたべもの」 より 「茄子の機微」 (朗読:加藤 順子さん)
ひと口食べた瞬間、心の片隅に眠っていた懐かしい思い出が甦る・・・・・
だれもが覚えのある体験を、ユーモアと優しさに満ちた視点で描かれたエッセイ。
十代の頃、茄子が嫌いだった。茄子のどこに存在価値があるのだろう?
この野菜の何がいいのか、私にはわからなかった。
何がいいのかわからない、といえば、小津安二郎の映画がそうだった・・・。
こんな映画、なにがいいんだ?
それから四半世紀が過ぎた・・・・・。
秋茄子の美味しい季節。
今回は、加藤さんが、作者の思いを丁寧に表現してくれました。
杜の音の皆さんも、じっくりと聴き入ってくれたようです。
☆加藤さんの感想
数えるところ杜の音に伺うのは4回目となりました。
今回は前回までの作品と比べると長いものを選んでしまい、その長さへの不安も抱えての参加でした。
が、読み進めていくうちに、皆様方のお顔も順に伺うことも出来ました。
作品の中で作者の森下さんが絶賛している 「焼き茄子」 に私もはまって食べている最中なので、
心を込めて美味しさを表現したつもりではあります。少しでもお届けできてればと願うところです。
当然のことながら、長野先生の朗読には、聴いている皆様の表情が随分違うなあと改めて実感し、
大変勉強になりました。ありがとうございました。
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②「君へ。つたえたい気持ち三十七話」 より 「モーニングコール」 (朗読:八幡 靖子さん)
「コミュニュケーション」 をテーマに、37名の作家たちによる ショートストーリー集。
「誰かへ伝えたいメッセージ」 を主題に、電話、FAX、メール での心の触れ合いが美しい作品集です。
三か月ほど前からだった。朝六時、電話の音で起こされる。
浅い眠りのなかにすべりこんでくる呼び出し音は、いつ果てるともなく続き、
しだいにひとつの暴力となって僕をベッドからひきずり出すのだ。
受話器を取ると、相手は何も言わない。
ただ、沈黙の後ろからかすかに波の音が聞こえる。僕は、ぼんやりと海を思う。
どんなに文明が進んでも、大切なことは変わらないと気付かされるエッセイ。
今回は八幡さんが、田口ランディの作品を優しく届けてくれました。
杜の音の皆さんも、静かに聴き入ってくださいました。
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③ 宇野 千代 作 「不思議な事があるものだ」 より 「待つことの人生」 (朗読:村山 和子さん)
98歳の天寿を全うするまで書き続けた、宇野千代の文学の極点を示す、最晩年の作品集。
待つことだ。待つことだ。
これまで私の人生は 「待つ」 ということのない人生であった。
老齢が、私に待つと言うことを教えてくれたのであったのか。
これも一つの人生の知恵であろうか。
今回は 村山さんが、宇野千代の世界観をうまく表現してくれました。
杜の音の皆さんも、ご自身の人生と重ね合わせながら聞いて下さったようでした。
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④ 向田 邦子 作 「父の詫び状」 より 「お八つの時間」 (朗読:長野 淳子)
「お前はボールとウエハスで大きくなったんだよ」
「ボール」 は 「卵ボーロ」 のこと。「ウエハス」 は 「ウエハース」 のこと。
向田邦子さんの、子供のころの 「お八つ」 のお話です。
子供はさまざまなお八つを食べて大人になる。
子供時代にどんなお八つを食べたか、それはその人間の精神と無縁ではないような気がする。
「小さい頃の習慣や思い出は、ある時何かのきっかけで、ねずみ花火のようにはじける」 と
向田さんは言っていますが、本当にその通りだと思います。
読み終わった後、お客様から 「小さい頃のことを思い出しました」
「向田さんの作品は、いつ聞いてもジーンときますね」 という感想を頂きました。
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毎回、作品選びに始まって、登場人物の配役やBGMなど、「読む人」 も 「聞く人」 もお互いに楽しめるように、工夫していますが
読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
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