朗読劇 「とりつくしま」 ~彼女の思いを言葉に乗せて~ (Kiyoko)

  
Kiyoko [posted:2018.11.30]

10月28日 ㈰ せんだいメディアテーク7階 スタジオシアター にて

ステージ・アップ主催 朗読劇 「とりつくしま」 を上演しました。

空は深くすみわたり、野山も秋景色となる頃でした。


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当日は、お忙しい中多くのお客様にお越しいただきました。
また皆様から、温かいメッセージやきれいなお花など、たくさんの応援もいただきました。
この日を迎えることができましたことに、心から感謝申し上げます。


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今回の上演作品は、東 直子 作 「とりつくしま」 命を亡くした人の 「魂の物語」 です。


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私の役は、結婚2年目の20代の女性です。

「あたしは、死んでしまったの? もう、生き返れないの?」


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交通事故で突然この世を去ることになってしまった彼女は、現実を受け入れられず戸惑います。

そんな思いを感じとり、手をさしのべるものと、彼女は出会います。 それが 〈とりつくしま係〉 です。


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〈とりつくしま係〉 は言います。

『この世に未練がある、死んだことに納得がいかない、どうしても会いたい人がいる、
見ておきたいものがある、そんな方々のために、とりつくしま係は日夜業務をはたしているのです』


そう言われて、彼女が一番に思ったのが、大好きな夫......のことでした。

「渉は今、何をしているだろう? 渉に会いたい......」

そうして彼女は、渉の 『身の回りの モノ』 になることを決めます。
それは、渉のお気に入りの 『トリケラトプスのマグカップ』 でした。


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『あたしが触れることができるのは、彼の唇と指だけだったけれど、
それを全身で受け止められることが、なにより至福だった』


そうして1年が過ぎた頃、事件はおきます。なんと渉に新しい女性が現れるのです。

楽しそうに語り合う二人。

『嫌だ、こんなの見たくなかった! とりつくしまなんて、もらうんじゃなかった!』


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ある日、女は 「ジノリのカップ」 を持ってきて渉に言います。

「食器は、そのうち全部取り換えたいの。急にってわけじゃないの」
「少しずつでいいの。ゆっくりでいいから、いずれ全部」


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「ジノリのカップ」 を見て、渉は気がつくのです。

「ごめん・・・オレは、これ、なんだ」

そう言って、渉が手にしたのは、愛用の 「トリケラトプスのマグカップ」 でした。


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『あたしは、渉が好きなトリケラトプスだよ。ツノが3本ある。ここがいいんだよね』

『さわって・・・ 渉・・・』


朗読するうえで大切なこと、
それは、登場人物の心情を深く掘り下げることにより、全体的なニュアンスをつかむこと。


彼女の心、渉の心、とりつくしまとはどんな存在か?
渉の前に現れた新しい女性の企みなど、文章の中に描かれていることをひもときながら、読み込んでゆく......


先生からのヒントに、ならばこの読みでよいのか、違うはず、べつの読み方だという気づき、
私の台本には、重要なヒントやポイントが、稽古のたびに書き込まれていきます。


彼女と渉の思いを言葉にのせて......心のままに ...皆さまにお届けすることの大切さを、
長野先生から教えていただきました。


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会場にお越しくださいましたお客様......ほんとうにありがとうございました。


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また、ステキな照明と舞台監督、素晴らしい音響、
そして、おもてなしの心でお客様をお迎え下さいました、ステージ・アップの先輩方、
更に、歩みを共にして頂いた出演者のみなさん、
私達を支えて下さいました多くの皆様に、心から感謝申し上げます。  (小笠原清子)


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