「ライブの楽しさに感動!」 (三浦由子)
前回の 「口紅のとき」 に続いて、2回目の出演となる ステージ・アップの朗読会。
今回は、東海林さだおの 「アイウエオの陰謀」 より 「人体の言い分」 を5人で読みました。
この作品は、人体の様々な臓器が、自分の役割についての思いを述べるという内容で、私は 「肺」 を担当しました。
真面目な 「肺」 は、自分の仕事に誇りをもっているのですが、「仕事がつまらない」 という悩みがあり、
この気持ちを 「わかってほしい!」 と力説します。
「肺」 は3分程度と短いため、割合早くから読み方もほぼ定まり、私はこれで充分な読みかな...と思っていたのです。
しかし、本番2週間前に 「杜の音」 の朗読ボランティアで読んだところ、
私の 「肺」 だけがウケなかったのです。大変なショックでした。
内容が分かりにくいのだろうか? キャラクターが嫌われたのか? それとも読み方か?
朗読会までになんとか少しでもよいものにしなくては...と、聴いただけですぐわかるように台本に少し手を加えたり、
読み方をさらに工夫したりと、遅まきながら気持ちに火がついたようでした。
朗読で人を笑わせるのはなかなか難しそう...。
そう思っていた私にとって 「肺」 を朗読することは大きなチャレンジでした。
そして迎えた本番。私の前の2人 「心臓」 と 「胃」 は大いにウケました。
そしていよいよ私の番。本番では不思議と緊張しませんでした。
「ウケなくてもいい! 『肺』 の心情をわかってもらえればそれでいい!」 と臨みました。
ところが、前の2人の読みで、お客様はのりにのっていたのです。
「何か面白いことを見つけたら、率先して笑ってやろう」 という気持ちだったらしく、
「え?ここで笑う?」 というところで何回もちゃんと笑ってくれました。
そのお客様の笑い声に力を得て、私の読みも、いつもと全然違う読みになっていました。
「これがライブでやる意味なんだ。 『肺』 の気持ちが伝わった...!」 と読みながら、思わず感動してしまいました。
「自分の仕事がつまらない」 と嘆く肺が 「大腸サンあたりだと、扱っているものが明らかに自社製品だし、
色もついてるし、匂いもある。手ざわりだってはっきりわかる」 と話す場面が私は好きです。
「大腸さんはいいな~。うらやましい!」 と真剣に思いながら、読みました。
聴いている人に 「え、嘘でしょ!あんなものがうらやましいなんて...」 と笑ってもらおうと大真面目に言う
バカバカしいことこの上ないセリフですが、これを言えたことで、一皮むけた気がします。
自分の朗読が終わった後 「眉」 と 「歯」 を聴きながら、私はお客様と一緒になって心から笑っていました。
他のメンバーもいつもと違う読みで、実に楽しんでいました。
グループ朗読は、不思議なものですね。
1人だけの読みより5人が集まることで、お互いに引き立てあってより面白くなる...。そう実感しました。
そうして時間をかけてレッスンを繰り返すうちに、作品の統一感が出てきたのではないかと思います。
「ステージは 『非日常』 の世界。お客様は 『日常』 を求めていない。やりすぎと思うくらい、思い切ってやってみて!」 と
長野先生がおっしゃったことがあります。すごく納得できる言葉でした。
それを受けてメンバーみんなが 「よし!帰って読みを工夫しよう!」 と声を掛け合っていましたが、
お互いの読みにも刺激を受けて頑張ることが出来た気がいたします。
人前で朗読することで、その度に色々学ぶことがあります。
お客様に喜んでいただけたことが、本当に嬉しく、とても幸せな気分になりました。
今後も少しずつでも上達できるよう、たゆまぬ努力を続けてまいりたいと思っております。
励ましながらご指導くださった長野先生、笑って大いに力をくださったご来場のお客様、お手伝いいただきましたスタッフの皆様、
お互いに励ましあった出演者の皆様、皆々様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。