「人生で キラリと光る朗読会」 (宮崎幾野)
初参加の 「ライブリーディング ブーケ」 における 私の担当は 「人体の言い分」 の 「歯」 でした。
「歯」 は 「わたしらの願いは、活動したい、ということだ!」 に始まって、
「あごの助けなど借りずに、何とかしてみずからの動きを持ちたい!」 と切望します。
初めてこの「歯」を読んだとき
「言われてみれば確かにそうだ。歯は動いていない。動いているのは顎だ」 そう思って思わず笑ってしまいました。
この 「大真面目で、ひたむきな願望」 を、その裏返しで 「クスッと笑わせる」
これは、私にとって、これまでにないほどの 「大きな課題」 でした。
今回読ませていただくにあたり、私個人としては、
聴いてくださる方の想像力にゆだねる、きれいなだけの読みではなく、
先生のプロデュースのもと、自分なりに読み砕いた表現を、ある程度出すことができればと思いました。
また作品としては、他の演目とのコントラストを考え 「ただただ楽しくきいていただける読み」 を心掛けました。
一方で常に 「何かちがう」 「ひとりよがりな読み方になってはいないか」
「お客様におしつけることになるのではないか」 という葛藤もありました。
そうした中で私の好きなシーンは、内職している 「唇」 を語る 「チュー」 の場面でした。
「唇は、油断がならない。食べ物のフタぐらいの役目しかないのに、
ときどき 「チュー」 というような音が聞こえてくることがあり、『ああ、内職をしているのだな』 とわかるのだ。
なんとなく、とてもいい内職だということが伝わってくる」
このシーンは、とにかく自分を開け放つことに決めて、大げさすぎるほどに語ってみた 「記念すべき場面」 です。
やればやるほど 「難しくて」 、やればやるほど 「楽しい」 シーンでした。
お陰様で、上演後のお見送りの時に、お客様から 「楽しかった」 「面白かった」 という声をたくさんいただけたので、
とても嬉しくありがたく、自分としては細かい反省点は多々あるものの、満足しています。
「朗読は、作品が何割」 などと聞きますが、それを立ち上がらせるのが 「読み手」 ということも、
あらためて肝に銘じなければと、会を終えた今思っています。
私にとって今回のステージは、練習するほどにどんどん作品を好きになり、当日が楽しみな朗読会でした。
そして、仲間と一緒に作り上げた、人生できらりと光る思い出になりました。
更に、お客様の反応が肌で感じられ 「これからも朗読を続けていこう!」 と、思わせてくれた朗読会でした。
当日お聴きいただいたお客様、ご指導くださった先生、一緒に舞台を作ってきた演者、
スタッフの皆さま、応援してくださった朗読クラスの方々、
そしてこの感想を読んでくださっている全ての方に心より感謝いたします。