感動の初舞台 「とりつくしま」 (佐藤 稔)
67歳 にして、初の舞台 に立ちました。
これまでも、朗読会には出演したことはありますが、今回のように 180名近い観客 の前での本格的な舞台は初めてでした。
「いや、モノとかそういうのじゃなくて、もう1回、おれを生き返らせてくれないですかね」
「みんな困ってると思うんだよね。急だったから」
私の役は 「マッサージチェア」 になって、家族を見守る 「父親」
自分自身と重なるところがあって、自然に作品に入っていくことはできたと思います。
「戻ってきた! おれは、マッサージ機になって、家にいる!」
実は今回、1回目の稽古直後に 体調を崩し、1か月以上の入院 を余儀なくされたのです。
長野先生をはじめ、共演の皆さんには、随分心配を掛けたと思います。
それでも何とか復帰することができ、この作品にはどうしても出たかったので、続行させて頂きました。
長野先生はじめ、共演の皆さんも温かく見守ってくれて、何とか無事務めることが出来ました。
本当に、感謝の言葉しかありません。
「おれの人生って、なんだったんだろう・・・・・」
本番当日は誰しもが思う様に 「緊張はしないで行こう! 練習は十分したんだから」 と、自分に強く言い聞かせ望みましたが、
出番直前には無性に刹那さを感じ 「この場からいっそ逃避してしまいたい!」 とさえ思ってしまいました(笑)
「なあ、祥子、おれと結婚して、後悔したことはなかったか? 一度でも、なかったか?」
その緊張の真っ只中からのスタート。他のメンバーより台本に目を落とす回数が多かったと思いますが、
所々で客席から笑い声が聞こえ、少しは伝えられたのかと思いました。
「おれは、まぼろしのおれのために、懸命に動いた」
そして何とか最後迄たどり着き、舞台を降り、ロビーに出た時には 「終わった!」 と思わず心の中でひと声。
ホッとすると同時に、まだまだだなあと、練習と経験の未熟を痛感しました。
上演後、以前朗読会でお世話になった方から、
「皆さん、よく練習したんでしょうね。朗読というより一人芝居に近いくらいでしたね。
照明や音楽を効果的に使っていて、完成度の高い舞台だなと感じました。
稔さんの作品は、稔さんのキャラクターに合っていて、自然と笑いがこみ上げて来ました。
地のままでやっているので、そこが好感が持てました」
という感想を頂き、これに懲りずにこれからも朗読を続けたいと、気持ちを新たにしました。
今回、見に来て頂いた多くの方々に、そして辛抱強く指導して下さった長野先生に、さらに、共演の皆さんに、
心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。ほんとうに、ありがとうございました。 (佐藤 稔)