朗読劇 「とりつくしま」 を終えて (小野愛美)
2018年10月28日 ㈰
ステージ・アップ主催 ライブリーディング Vol.7 朗読劇 「とりつくしま」 が開催されました。
私は今回も、運営スタッフ として参加しました。
スタッフとして参加する際も、私は題材の本を読んで臨んでいるのですが、
今回の 「とりつくしま」 は、読まないうちに当日を迎えていました。
本は購入したのですが、そのまま本棚へ~そしてすっかり 「読んだつもり」 になってしまっていたのです。
そして、本の装丁と帯に書かれた 「優しさにつつまれながら号泣していました」 という言葉から
「ほのぼのとした物語」 だと思い込んでいました。
当日のリハーサル。
初めて物語の内容を知り、私の思い込みはあっさり裏切られました。
トップバッターの マグカップになって、夫を見守る妻の話 「トリケラトプス」 は
「ほのぼの・・・?」 と一言では言い表せない 「女の嫉妬心」 が感じられる物語・・・
続く、ロージンバッグになってピッチャーの息子の試合を見届ける母の話 「ロージン」 も
やはり、主人公の 「未練」 と 「寂しさ」 があり、思い込んでいた物語のイメージとの違いに、すっかりその世界へ引き込まれました。
しかし、どの作品も 「未練」 と 「寂しさ」 を吐露しているにも関わらず、
物語を聞き終えた後は、マイナスの感情が残らない・・・というのも不思議な感覚でした。
この不思議な感覚が帯の言葉にある 「優しさに包まれながら・・・」 と感じるポイントなのかもしれません。
私のように、本を読まずにお越しになるお客様は多いはず!
良い意味で期待を裏切られた私は、今日のライブリーディングもお客様の心を振るわせる会になるだろうと・・・この時に確信しました。
どの物語が一番心に残ったかは、お客様それぞれだったと思います。
物語の捉え方も、年齢や生活環境・人生経験などによってそれぞれだったと思います。
本の帯に書かれているように 「優しさに包まれた物語」 と感じた方もいらっしゃるのだと思います。
しかし、どのお客様も一人一人が 「自分が何かにとりつくなら、何にしようか・・・」 と考え、
大切な人の存在を、改めて感じることができる時間だったのではないでしょうか。
今回もたくさんのお客様にお越しいただきました。
開場時間の前からお客様の長い列ができ、お客様の期待が感じられました。
そして、お帰りの際にも 「次も楽しみにしています」 と声を掛けていただきました。
回を重ねるごとに、そうおっしゃってくださるお客様が確実に増えていることを実感しています。
スタッフとして参加した私ですが、お客様の満足した様子を拝見し、
また、出演メンバーの努力の結晶を目の当たりにし、その充実感を共有させていただきました。
会場にお運びいただいたお客様と、出演メンバーに心から感謝いたします。ありがとうございました。 (小野愛美)