朗読劇 「悪女について」 秋田公演ダイジェスト (長野淳子)
4月25日㈯ 朗読劇 「悪女について」 の秋田公演が無事上演されました。
当日はお天気にも恵まれ、昼の部・夜の部合わせて150名近くのお客様がお越し下さり、
会場のココラボラトリーは、開演前から熱い熱気に包まれました。
有吉佐和子原作のこの作品は、「魔性の女」 「稀代の悪女」 と言われた、
実業家 「富小路公子」 の死の真相を、一人のルポライターが、解き明かしていくというもので、
彼女を知る人々が、インタビューに答えるという形で 「富小路公子」 が浮かび上がっていきます。
私は、この 「悪女について」 は、東京・横浜・仙台・秋田と今回で4回目の出演で、
これまで、東京と横浜では、幼なじみの 「丸井牧子」 役・仙台では 「銀座のバアのマダム」役・
そして今回秋田では、ドレスデザイナーの 「林梨江」 役と、3役演じてきましたが、
「処かわれば品かわる」 とはよく言ったもので、同じ作品でも 「登場人物」 や 「編集の仕方」 で
ニュアンスが変わり、あらためて新鮮な気持ちで臨むことができました。
特に今回は、9名の出演者の内、男性が4名・女性が5名と、男女のバランスもよく、
又、共演者のほとんどが秋田の劇団で活躍している役者さんたちで、実に刺激的でした。
その役者さんたちに言わせると 「朗読劇は芝居より難しい」 という以外な声もありました。
更に、今回私にとって初めての経験だったのが、「1日2回公演」 ということでした。
中でも印象的だったのは、1回目と2回目のお客様の 「反応の違い」 でした。
1回目は、客席が熱気に溢れ、それに導かれる様に私自身も楽しんで演じる事ができました。
2回目は、ピリッとした雰囲気に緊張して、稽古通りかっちりと演じたという感じでした。
これは他の出演者も同じように感じたことでしたが、後から聞いたところ、
1回目は一般のお客様が多く、2回目は朗読や芝居をやっている方が多かったということで
「なるほど~」 と、妙に納得しました。
当日は、遠くは東京から、NPO日本朗読文化協会の理事長をはじめ3名の方がお越し下さり、
又、学生時代の友人が、能代から1時間かけてご主人と一緒に駆けつけてくれたり、
更に、「悪女について」 仙台公演の共演者から、連名で素適なお花が届いたりと、嬉しいことがいっぱいで
その度に思わず 「まああ~~~」 という、主人公富小路公子のセリフが、口をついて出ました。
中でも仙台から届いたお花が目を引き 「長野さん、すてきなお花ね!!どなたから?」 と聞かれ
「悪女について」 の仙台公演の時の共演者です・・・と答えたのをきっかけに、
ひとしきり 「仙台公演」 の話に、それこそ花が咲きました。
頂いたお花を、どうしても仙台に持ち帰りたくて、お花屋さんから貰った段ボールに入れて
大事に大事に持って、仙台まで新幹線に、自宅までタクシーに乗りました。
新幹線で隣り合わせた女性の方や、タクシーの運転手さんに 「きれいなお花ですね!」
「いい香りですね!」 と声を掛けられ、そこでまたひとしきり公演の話になりました。
今お花は、自宅のリビングで見事に咲き誇っています。持って帰った甲斐がありました。
振り返れば、今年1月から始まった 「秋田通い」 は、本番を含めて5回になりました。
初めは、新幹線の盛岡以北のゆっくりさや、列車の待ち合わせのために停車することや、
大曲からの逆走行など、びっくりすることの連続でしたが、そうしたことにもいつしか慣れ、
東京~仙台間より遠い2時間半という距離も、苦にならなくなりました。
かえって、通うたびにグングン仕上がっていく、共演者の皆さんに刺激を受け、
又、仙台からの私を温かく迎え入れて下さる心遣いに、毎回伺うのが楽しみになりました。
1月~2月は、雪にすっぽり覆われていた山々が、3月に入ると木の根元から雪が解け始め
線路沿いの渓流のそばには、水芭蕉がたくさん顔を出しました。
4月に入ると、山からの雪解け水で川はエメラルドグリーンに輝き、山桜が色を添えました。
冬から春へと季節の移り変わりを感じながらの 「秋田通い」 はとても楽しいものでしたので
もう行かないんだ・・・と思うと、なんだかさみしい気もしますが、お陰様で公演も盛況のうちに
無事終えることができたので、今はホッとしているところです。
今回私は、日本朗読文化協会のお仲間の、安倍眞壽美さんが率いる 「ひいらぎの会」 に
友情出演という形で、参加させて頂きましたが、
無事に終わってみれば、「やって良かった」 と笑顔で振り返ることができますが、
会の代表として当日を迎えるまでの安倍さんの御苦労は、いかばかりかとお察しします。
ひとつの作品を上演するにあたって、会を束ねるということは本当に大変なことだと思います。
又今回、1人1人の出番の間に生演奏を入れてくれた、チェロの森義丸君をはじめとして、
「これからの若い人たちに活動の場を提供し、その才能を育てる」 という安倍さんの温かい想いに、
胸が熱くなり、頭が下がりました。
当日会場にお越し頂いたたくさんのお客様、
声のグループ 「ひいらぎの会」 代表の安倍眞壽美さん、
ご一緒させて頂いた出演者の皆様、更にお世話頂きましたスタッフの方々
そして、仙台から応援してくれた、ステージ・アップのメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
皆様から頂いた温かい気持ちを胸に、これからも活動していきたいと思います。
「悪女について」 仙台公演 https://www.stage-up.info/contents/cat9/post-31.html
「悪女について」 東京公演 https://www.stage-up.info/contents/cat9/post-40.html