斎理屋敷で 「雛」 を朗読しました
3月4日㈰ 丸森にある齋理屋敷で、芥川龍之介の 「雛」 を朗読しました。
齋理屋敷は、江戸時代から昭和にかけて七代続いた豪商、齋藤家の屋敷で、
代々の当主が 「斎藤理助」 を名乗ったことから 「斎理」 と呼ばれるようになりました。
呉服・太物の商いから、養蚕、味噌醤油の醸造など幅広い商売を手がけて栄えましたが、
第二次大戦後に店を閉じました。
昭和61年、屋敷と蔵の収蔵品を含めてそっくり町に寄贈したことから、
膨大な収蔵品を調査・整備して、昭和63年、蔵の郷土館として開館しました。
蔵と屋敷に、豪商の暮しぶりを物語る豪華な調度品や商売の道具など、様々な品が展示してあります。
ここ数年、毎年のように伺うたびに、蔵屋敷に受け継がれたあの 「享保雛」 の前で、
芥川龍之介の 「雛」 を読んでみたいという念願が、今年やっと叶いました。
間際になってからの私の無理な願いを、佐藤館長は、本当に優しく、
そして快く受けとめて下さいました。本当にありがとうございました。
3月に入ってすぐの大雪、はてさて当日は・・・と少し心配しましたが
やっぱり私は、強力な 「晴れ女」 のようで、お陰様で当日は暖かな一日になりました。
お客様も、暖かい陽気に誘われるように、たくさんお越しくださいました。
居宅に飾られた 「享保雛」 が、今年も優しいまなざしで迎えてくれました。
吊るし雛や、色艶やかな打掛に桜の花が、ひな祭りの嬉しさを一層引き立てていました。
「これは或老女の 話である」 で始まる芥川龍之介の 「雛」 は、江戸から明治へと移り変わる時代に、
没落して昔から家に伝わる 「雛」 を手放すことになった御用商人一家のそれぞれの思いを描いた物語で、
老女が、自分の15歳当時のことを思い出しながら語るというスタイルになっていて、
時代と共に時を過ごしてきた 「雛」 の前で読むのに、まさしくぴったりの作品です。
今回は45分の作品を、20分のダイジェスト版にしておおくりしましたが、
皆さん身じろぎもせず、じっくりと聞き入って下さいました。
座敷に飾られているお雛様も、齋理屋敷に来た当時のことや、齋理の人々のことを思いながら
聞いてくれているように思いました。
私の朗読の前後には、月輪まりこさんの 「アイリッシュハープ」 の演奏があって
アイリッシュハープの優しい音色と、月輪さんのあたたかい歌声が、新館のホールに響いていました。
朗読が済んでから頂いた 「雛ご膳」 の美味しかったこと。ご馳走様でした。
雛ちらしに潮汁、干し大根とあぶらふとがんもどきの煮物に香の物、デザートはみかんゼリー。
お料理に添えられた箸ぶくろには、男雛と女雛が飾られていて、記念に頂いてきました。
来年もぜひ読ませていただきたいと、館長にお願いして、今年の私のひな祭りは終わりました。
今回の齋理屋敷での朗読の模様は
「まるもり 水とみどりの百貨店」の「すたっふ日記」 にアップされていますので
どうぞご覧ください。
「齋理のひな祭り」 は、4月の初めまで開催されています。
どうぞ皆様、お誘い合わせてお運びくださいませ。
☆ 場 所 丸森町 蔵の郷土館 齋理屋敷
☆ 電 話 ℡ 0224-72-6636
☆ 地 図 こちらからどうぞ