『口紅のとき』 ふたたび (八幡靖子)
角田光代 原作の 「口紅のとき」 は、私にとって、昨年に続き2回目となる朗読でした。
一人の女性の人生の折々に登場する1本の 「口紅」 を通して、その女性の 「生き方」 が描かれるこの作品。
私が演ずる 「79歳」 は、いわゆる老人ホームに入所していて、
月に1度訪れる家族にも、ホームの人たちにも心を閉ざし、一日中黙っているという設定。
そんな彼女が、デイケアの 「メイクスタッフ」 から手渡された 「一本の口紅」 を糸口に、
自分の人生を振り返り、「言葉」 を取り戻すというストーリー。
今回も自分に課したことは 「1日1回は必ず読むこと」
とにかく毎日作品と向き合う中で、自分の中で作品が更に変化していくのがわかりました。
「79歳」 の役は、自分の年齢に近いこともあり、自然に役に沿うことができましたが、
その中でも、私が一番好きなセリフは
「皺の一本一本に、しみのひとつひとつに、私の過去がある。
私の過ごしてきた日々は、すべて私の顔のなかにある」
今でもこの 「セリフ」 が口をついで出てきます。
昨年は、どちらかというと 「へそ曲がり感」 の方が強く出てしまいましたが、
今回は彼女が持つ 「孤独感」 を出せたらいいなと思って演じました。
また昨年は、「18歳」 と 「38歳」 と 「79歳」 の3人のダイジェストでしたが、
今回は、「6歳」 ~ 「79歳」 まで全8役が揃ったことで、人生の流れがより一層明確に浮かび上がったように思います。
昨年共演した仲間も見に来てくれて、「昨年より更に進化したね!」 と言ってもらったことが、とても嬉しかったです。
応援してくれた友人に心から感謝です。ありがとうございました。
また、ここまで導いてくださった長野先生には、そのご苦労を思い 「 流石!! 長野先生!!」と 尊敬と感謝の気持ちでイッパイです。
先生のお陰様で、聴いてくれた友人達から お褒めの言葉を頂きました。本当にありがとうございました。
「文字」 を 「言葉」 にして届けることの醍醐味を改めて感じた今回。
これからも更に一層精進しなくてはと思っています。 (八幡靖子)