「みんなが楽しめた 朗読会」 (早坂ふく子)
今回の朗読会は、グリム童話に始まり、大橋静子さんのエッセイや、時代物の短編小説、
更に、東海林さだおのショートショートに、向田邦子のエッセイと、
実にバラエティーに富んだ内容で、出演者である私自身も楽しませて頂きました。
また、昨年にも増して、沢山の方々にお出でいただき感謝しております。
そうした中で、今回私が朗読した 「いのちをいただく」 は、
食肉加工センターで、牛を解体する仕事をしている 「坂本さん」 が主人公です。
「人が生きる」 ということは、たくさんの 「命をいただく」 こと。そしてそこには 「命と向き合い続ける」 人がいるということ。
「いただきます」 と 「ごちそうさま」 という言葉の意味を、改めて考えさせられる作品です。
以前この 「いのちをいただく」 を小学校の全校放送で 「朗読劇」 で行ったことがあります。
どの学年からも深い感想文が寄せられ、その日の給食の残食はほぼゼロに近かったとききました。
私は、女の子が解体された牛の肉を 「いただきます!おいしかあ おいしかあ」 と泣きながら食べるところが印象的でした。
本作品の主題と共に、主人公の 「坂元さん」 も、そして 「聞き手」 も 「読み手」も、女の子のこの台詞で救われる思いがするからです。
あらゆる生き物の命をいただいて生きている人間として、襟を正して 「命」 と向き合うことを求められる、衝撃的で難しい作品でした。
そのせいとは言えませんが前日から声が出なくなり、なんとしてでも作品の心を皆様にお届けしなくてはと焦りました。
それでも本番は、何とか最後まで読み通すことが出来、ホッとしています。
アンケートにも、皆様からたくさんのお声をいただきました。ありがとうございました。
これからも、言葉を心の窓にして語れるように、作品と向き合っていきたいと思います。
ご指導いただいた長野先生、ありがとうございました。
そしてお越し頂いた皆様、応援して頂いた皆様に、心から感謝いたします。