「杜の音通信」 ダイジェスト (令和2年3月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
66回目 を迎えた令和2年3月は、以下の4作品を朗読しました。
① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」
② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」
③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」
④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」
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① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」 (朗読 : 長野 淳子)
大橋鎭子さん は、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者として長年活躍された方で、
NHK の連続テレビ小説 「とと姉ちゃん」 でもおなじみになりました。
大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが、私は大好きでこれまで、朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。
現在も、毎週水曜日に ラジオ3 で放送している番組 「長野淳子のすてきなあなたに」 でも、朗読しています。
今回は、桜の季節 になると、必ず紹介するエッセイ 「花ことば」 を朗読しました。
桜の花が咲きそうな気配をいう 「花もよい」
咲き乱れる桜の花の白さのために、夜でもあたりが明るく見えることをいう「花あかり」
桜が咲くころに突然にくる寒さをいった 「花冷え」
満開の桜を、遠見のかすみに見立てた 「花がすみ」
川面に散った桜の花びらが、連なって流れていくのを 「花いかだ」
花を散らせる強い風も 「花あらし」 といえば許せる気がします。
むかしの人は、まわりを見まわして、ゆたかな自然を暮らしにとり入れ、美しさを見いだしながら過ごしてきました。
いまその知恵を、しみじみと感じています。
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② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」 (朗読 : 田中 憲子)
昭和30年代の佐渡島の農家を舞台に語られるこの物語。
大切な人を失いながらも、それぞれが支えあって強く生きていく家族。
そして、みんなの心の中に、炊きたてのご飯の中に、今も生きているお父ちゃん。
湯気の立つごはんの絵。その向こう側に子どもたちは何を見るのでしょう。
飯野和好さんの描く家族の表情も、ずっと心に残ります。
悲しいだけでない、あたたかくて味わいのある絵本になっています。
今回は田中さんが、あたたかい家族の思いを、優しく語ってくれました。
杜の音の皆さんも、優しい眼差しで聞き入って下さいました。
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③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」 (朗読 : 長野 淳子)
「ごはん」 に関する幼少期の思い出。それは、東京空襲 の後に食べた昼餐。
「戦争」 「家族」
ふたつの言葉を結びつけると、私にはこの日の、みじめで滑稽な最後の昼餐が、浮かんでくるのである。
杜の音の皆さんも、ご自身の戦争体験と重ね合わせながら、じっくりと耳を傾けて下さいました。
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④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」 (朗読 : 長野 淳子)
「雪隠成仏」 は、「花見のトイレ問題」 を題材にした作品で、「貸トイレ」 でひと儲けしようとした夫に起こる事件を描いています。
「明治の文豪がこんな作品を書いていたの?」 とちょっと意外な感じのする短編で、くすっと笑えて、ちょっと怖い落ちがついています。
ちなみに 「トイレ」 は、実に様々な言い方があります。
「WC」 「お手洗い」 「化粧室」 「お便所」 「御不浄」 「はばかり」 「厠」 「手水場」 そして 「雪隠」
今回は、皆さんから出た 「言葉」 をホワイトボードに書き出していきました。
耳で聞くだけでなく、目で見ることで、より楽しんで頂けたようです。
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読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」 「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
当日の詳しい模様は、こちらをご覧ください!
https://www.stage-up.info/contents/cat9/cat23/-23.html