「杜の音通信」 ダイジェスト (令和2年11月号)
平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」
72回目 の令和2年11月は、
12月15日に多賀城で開催される 「女性のための朗読会」 の作品から、以下の3作品を朗読しました。
①「君へ。つたえたい気持ち三十七話」 より 「モーニングコール」「朝日が向かっています」
② 東海林 さだお :作 「アイウエオの陰謀」 より 「人体の言い分」
③ 角田 光代 :作 「彼女のこんだて帖」 より 「豚柳川できみに会う」
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①「君へ。つたえたい気持ち三十七話」 より (朗読 : 小笠原清子・長野淳子)
「コミュニュケーション」 をテーマに、37名の作家たちによる ショートストーリー集。
「誰かへ伝えたいメッセージ」 を主題に、電話、FAX、メール での触れ合いが、心に響く作品集です。
「モーニング・コール」
三か月ほど前からだった。朝六時、電話の音で起こされる。
浅い眠りのなかにすべりこんでくる呼び出し音は、いつ果てるともなく続き、
しだいにひとつの暴力となって僕をベッドからひきずり出すのだ。
受話器を取ると、相手は何も言わない。
ただ、沈黙の後ろからかすかに波の音が聞こえる。僕は、ぼんやりと海を思う。
どんなに文明が進んでも、大切なことは変わらないと気付かされるエッセイ。
今回は小笠原さんが、田口ランディの作品を優しく届けてくれました。
杜の音の皆さんも、静かに聴き入ってくださいました。
「朝日が向かっています」
畳に換算すれば八畳ほどの、壁も床もいかにも安普請のマンションが、彼の一人暮らしの城だった。
九州・・・日本の西の端に近いこの街で暮らしはじめて、一年になる。
不惑を過ぎての単身赴任である。
東京に生まれ育った彼にとって、九州はまったくの未知の土地だった。
街に馴染めず、人に馴染めず、「ひとり」でいることそのものにも、なかなか馴染めなかった。
単身赴任者の悲哀を描いたエッセイ。
夫の愚痴を聞いた奥さんが、たった1行の言葉でねぎらいを届ける!という、とても洒落た内容。
夫婦だからこそ分かり合える・・・そんな作品です。
杜の音の皆さんも、じっくり聞いて下さいました。
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② 東海林 さだお :作 「アイウエオの陰謀」 より 「人体の言い分」
(朗読:円田さち子・小笠原清子・野呂光江・長野淳子)
「心臓」 「胃」 「歯」 「眉」 といった人体の臓器が、
それぞれに抱えている問題や、思いを発表するというショートショート。
今回は 「チーム人体」 の4人が、それぞれの持ち味を存分に発揮して読みました。
杜の音の皆さんも、声をあげて笑って下さいました。
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③ 角田 光代 :作 「彼女のこんだて帖」 より 「豚柳川できみに会う」 (朗読:佐藤 稔)
これまで一度も料理をしたことがなかった男性が、亡くなった奥さんの料理がどうしても食べたくて、
料理教室に通いだすところから、物語は始まります。
今やコンビニやスーパーで、簡単に済ませられる食事ですが、
料理を作ることがどれだけ大事か、そこには大切な人への想いがあるということを、改めて考えさせられます。
今回は稔さんが、自然体で読んでくれました。杜の音の皆さんにも十分伝わったようでした。
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読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。
当日の詳しい模様は、こちらをご覧ください!
https://www.stage-up.info/contents/cat9/cat23/-210.html