「不思議なご縁」・・・その1
秋のブライダルシーズンを迎えた10月、
ここでいつの日か、ブライダルMCをさせていただけますように・・・
と憧れていた仙台のホテルでの披露宴があり、
大きな期待感と身の引き締まる思いで臨みました。
新郎は私の地元のご出身の方です。
この"ご縁"への感謝と、何とも言えない親近感で、心の中は嬉しさで一杯に。
打ち合わせでお二人にお会いした時から、
ふんわりとした和やかな披露宴になりそう、と感じておりましたが、
まさにその通りで、お二人らしい優しさ溢れる披露宴となりました。
ご入場は、古式ゆかしい 「箱瀬古の儀」
挙式前の花嫁支度の際に、お母様からの手紙やお守りを入れた 「箱瀬古」 を、
新婦の胸元に差し込み、花嫁支度の仕上げを行う儀式です。
お母様と花嫁の動きを見つめながらご案内しているうちに、私自身も込み上げてくるものがあり、
「披露宴が始まったばかりなのに、堪えなきゃ」 と自分に言い聞かせ、深呼吸。
お二人の幸せの瞬間に立ち会わせて頂ける喜びを胸に、
精一杯務めたい、という思いで宴を進めました。
小さい頃の新郎や新婦を、よくご存知の皆様がお集りの披露宴でしたので、
皆、家族のようにお二人を囲み、写真撮影をするご様子は、それはもう笑顔・笑顔。
そして、この10月が新郎のお母様と新婦のお父様のお誕生月との事で、
新郎新婦からサプライズのプレゼントを贈るシーンへ。
これには新郎のお母様も、新婦のお父様も涙・涙で、皆、もらい泣き。
聞けば、お二人がお付き合いをしている間に起きた東日本大震災で、
あの大混乱のさなか、新郎のご実家は、新婦のお父様とお母様のお力添えを頂きながら
乗り越えることが出来たとのこと。
いろいろと大変な事があって、それを共に乗り越えてこられたご両家を見守る
ゲストの皆様の温かい気持ちが、会場いっぱいに満ち溢れた瞬間でした。
新郎のお父様のご挨拶のなかで、
「まさか及川さんに司会をしてもらえるとは・・・ご縁を感じますね。
震災の時は、気仙沼のラジオで情報を伝えてくれてありがとう。あの時は、とても助かりました。
今日は、あなたに司会をお願いして、本当に良かったなあ。」 と、お話しくださったのです。
思いもかけないお言葉をいただき、込み上げてくる熱いものを、とうとう堪える事が出来ず、
お辞儀をしたまま、暫く顔を上げる事ができませんでした。
震災直後、私はラジオで市の情報を伝える事に無我夢中でした。
そのラジオ局に徒歩で通う途中に、新郎のお父様の会社があり、
いつの間にか、新郎のお父様と交わす挨拶が日課になっていました。
地元での披露宴ではないので、確率はそう高くはないにも関わらず、
いつも笑顔で 「今日も頑張らいんよー!」 とお声をかけて頂いていた方の
息子さんの披露宴の司会をさせていただけたなんて、
本当に 「不思議なご縁」 と思わずにはいられません。
このご縁を繋いでくださったプランナーさんに心から感謝致しております。
そしてこの日、ドアの向こうで、そっと私を見守り続けてくださった長野先生。
先生をチラッと見る度、笑顔でGO!サインを送り続け、
初めての会場での司会に緊張気味の私を、ホッと落ち着かせてくださいました。
先生、ありがとうございます。
お開きの際に新郎新婦やご両親様はじめ、
ゲストの皆様からいただいた労いと 「ありがとう」 の言葉を心の奥にしみ込ませて、
明日からまた一歩前へ進みたいと思います。